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2014年8月31日 (日)

【コラム】 ラオス政府は、ソンバット氏誘拐事件の忘却を望んでいる

ラオスの社会活動家ソンバット・ソンポン氏が何者かに誘拐されてから、今日で624日が過ぎた。
http://sombath.org/

氏を日本に招いたこともあるメコン・ウォッチでは、日本政府・外務省を通して、ラオス政府に氏の安否確認と事件の真相究明を呼びかけているが、ラオス政府の回答はあいかわらず、「調査を続けているが進展はない」ということだ。

実のところ、ラオス政府は、国際社会が一刻も早くこの事件を忘れることを願っている。その証左をひとつ示そう。

2014年5月19日、欧州連合(EU)とラオス政府はベルギーのブリュッセルで、EU-ラオス人権・ガバナンス作業部会(EU-Lao Working Group on Human Rights and Governance)の第5回年次会合を開催した。EUとラオスが5月21日付で発表した「共同声明」は、第6段落でソンバット氏の失踪に言及し、懸念を表明している。

「また、EUは、著名な社会活動家であるソンバット・ソンポン氏の失踪事件をはじめとする個別の懸念事案を数多く伝えた。ソンバット氏の失踪はEUにとって重大な懸念事項であるが、依然として十分な説明がなされていない。」(”The EU also raised a number of individual cases of concern, in particular the case of the disappearance of Mr Sombath Somphone, a prominent civil society activist. Mr Sombath's disappearance is seen by the EU with grave concern and remains unexplained.”)
http://eeas.europa.eu/statements/docs/2014/140521_02_en.pdf

ところが、ラオス政府が発行する『ビエンチャンタイムズ(VT)』が5月23日に掲載した記事は、この共同声明を借用しているにもかかわらず、第6段落が消え、ソンバット氏については名前すら見当たらない。記事は、随所が共同声明のままであることから、ソンバット氏にかかわる部分を削除した作為がかえって浮き彫りになっている。
http://www.vientiane.diplo.de/contentblob/4238408/Daten/4296334/artvte230514humanr.pdf

ラオス国内で活動する市民団体/NGOは、この記事に触れ、自分たちの活動基盤が脅かされないためにはどのようにふるまえばよいかを再認識させられるだろう。口伝えで知ったラオスの人びとは、さらに声をひそめるであろう。そして、事件は風化させられてゆく。

共同声明が取り上げたにもかかわらず、『ビエンチャンタイムズ』が抹消した課題があと三つある。一つは、セクシュアル・マイノリティ(LGBTI)の権利(共同声明では、第5段落)、二つ目が「現地市民団体の登録制度の透明化」、そして三つ目が、「表現の自由、とりわけメディアの自由に対する制限」(共同声明では、ともに最終段落)である。

(こうもり記)

※この投稿は、必ずしもメコン・ウォッチの団体としての見解を示すものではありません。

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