活動報告

2015年1月 2日 (金)

【会議報告】 メコン河流域国への韓国(ROK)の政府開発援助(ODA)~その一

昨年(2014年)1245日、韓国ソウル国立大学の東南アジア研究センターが中心となって、「メコン圏の持続可能性の再考:政府開発援助(ODA)と大規模開発の役割の批判的把握」(”Rethinking the Sustainability of the Mekong: A Critical Understanding of the Roles of Mega-development and ODA”)と題する国際会議を開催し、メコン・ウォッチも出席した。会議の予稿集に、韓国のODAに関する報告が三点掲載されていたので、それぞれの要約を紹介しておきたい。

「メコン地域における韓国のODAのビジョンと役割」(原文英語)
”Roles and Vision of Korea’s ODA in the Mekong Region”
Hyun-Sik Jang
ソウル国立大学客員教授

かつての韓国は、経済援助を受けることで、経済・社会的に発展を遂げ、最貧国の地位から脱した。そうした国として、途上国に経済援助を実施し、経験を共有することが、韓国の政府開発援助(ODA)の考え方の根本にある。

韓国における、「セ・マウル(新しい村)運動」をはじめとする農村開発の成功は、目に見えない精神的な資本に支えられた。これは途上国にとって手本となる。また、韓国には途上国に応用可能な技術がある。ODAをうまく活用した経験もある。そして、日本の植民地主義による支配を経験したことで、同様の歴史を持つ途上国に対して共感の気持ちを抱くことができる。西欧諸国のODAと比較すると、こうした点が韓国のODAの特長である。

韓国のODAは、貧困削減と持続可能な開発を重点にしつつ、民主主義・自由・効率性を重んじる。そのため、韓国は、最善の結果を生みだす地域に重点的にODAを投下する。国別の中期戦略を立て、アジアを重視し、セクターとしては、人的資源開発(HRD)に焦点を当てる。

韓国の人的資源開発は国際社会でも評価が高く、基盤整備を起点とし、技術の向上や雇用の拡大を目指す。韓国は、戦略的な人的資源開発を通した持続可能な開発の手本を示すことができる。

メコン圏における韓国の主要な援助対象国として、ベトナムでは、保健と職業教育に重点を置き、国別パートナーシップ戦略(CPS)では、緑の成長と環境、職業訓点、交通運輸の三分野を重視している。カンボジアでは、工業とエネルギー分野に焦点を当て、CPSでは、農業・農村開発、緑の成長と運輸、職業訓練を通した人的資源開発を重視している。そして、ラオスでは、水資源・電力の基盤整備および貧困を削減し人的資源を開発するための教育が重点領域となっている。

多国間協力おいては、2011年、韓国・メコン外相会合の開催を始め、2012年には第二回会合を開いた。2014年の第四回会合では、「三か年行動計画」で合意し、この中で韓国は、流域内の道路・鉄道・空路・航路の総合的運輸基盤整備戦略と監督機関の設立に対する支援を約束している。

韓国は、メコン地域の開発に参加することで、地域の連結性(connectivity)を高め、持続的な発展を目指し、人間中心の開発を実現しようとしている。また、とりわけ、基盤整備、情報・通信技術、緑の成長、水資源開発、人的資源開発といった領域で協力関係を強めようとしている。

こうした目標を実現する手段として、韓国は、基本的な戦略を策定しつつ、地域内の政府の開発援助機関および民間企業とも協力してゆく。

韓国が自国の発展のためにODAを活用できた理由のひとつは、援助に対する所有権(ownership)と主導権(leadership)を発揮できたことである。援助に対する所有権と主導権を確立するには、被援助国が自ら資源を投入し、援助国が被援助国に対して融通性をきかせることである。

最大の援助国であった米国は、かつて、韓国の当面の安定を目的に、開発援助に諸条件を付してきた。韓国政府は理解を示しつつも、経済援助と軍事援助の分離といった国家開発計画に沿う長期的な援助形態を求め、最終的には米国の同意を取り付けるに至った。

注:発表者のHyun-Sik Jang氏は、設立時(1991年)より、韓国国際協力機構(KOICA)に勤務し、2013年に退職。元副理事長(Vice President)。この発表は、予稿集の18ページに掲載。

(こうもり記)

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